国家総合職とは?仕事内容・試験・年齢制限を社会人向けにわかりやすく解説
こんにちは。公務員のライト専任講師の荒山です。
社会人の方から「国家総合職とはどんな仕事で、社会人からでも目指せるのか」というご相談が多くあります。
そこでこの記事では、国家総合職の仕事内容から試験の流れ、受験できる年齢まで、データに基づいて徹底解説していきます。
この記事を書いた人
公務員のライト専任講師
あらやん先生(荒山龍史)
- 「国家総合職」指導のエキスパート講師。これまでに、国家総合職採用48名輩出という、日本トップレベルの指導実績を持つ。(主な採用先、総務省、外務省、法務省、国土交通省、厚生労働省、農林水産省、文部科学省、内閣府、国税庁など)
- 元「資格の大原」の講師として、国家総合職対策、中央大学学内政策研究ゼミ、東洋大学学内政策研究セミナーなどを担当。現在は公務員のライト専任講師として活躍中。
国家総合職とは

国家総合職とは、国家公務員の採用試験のうち総合職試験で採用され、国の政策の企画・立案や調査・研究を担う職員のことです。
国の府省で、法律や予算、制度の案をつくる仕事の担い手を採用する試験だと考えると分かりやすくなります。
法律上の位置づけ
国家公務員法第45条の2は、国家公務員の採用試験を4種類に分けています。
このうち総合職試験は、「政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務」を職務とする係員を採用するための試験です。
あらやん先生「キャリア」という呼び方
総合職試験で採用された職員は、いわゆる「キャリア」と呼ばれることがあります。
国家公務員法第27条の2は、採用後の人事管理を、採用試験の種類にとらわれず人事評価に基づいて行うと定めています。
あらやん先生※ 人事院の受験案内や試験ガイドでは、「キャリア」という呼び方は使っていません。
国家総合職と一般職・専門職の違い

総合職と一般職・専門職のいちばんの違いは、採用されたあとに担う仕事の中心です。総合職は政策をつくる、一般職は政策を実行する、専門職は特定分野の専門の仕事が中心です。
公務員の種類の全体像は、公務員とは?種類・仕事内容・民間との違いで解説しています。
一般職との違い
人事院は一般職試験を、「政策の実行やフォローアップなどに関する事務」を担う係員の採用試験と説明しています。
なお、法律上の「一般職(特別職に対する一般職)」は、一般職試験とは別の言葉です。
あらやん先生専門職との違い
専門職試験は、特定の行政分野の専門的な知識を必要とする事務を担う職員の採用試験です。国税専門官・財務専門官・労働基準監督官・航空管制官などがあり、職種ごとに試験が分かれています。
経験者採用試験との関係
経験者採用試験は、民間企業などでの実務経験がある人を、係長級などの官職に採用する試験です。総合職試験とは別の試験で、受験資格も試験の内容も違います。
国家総合職の仕事内容
国家総合職の仕事は、人事院の試験ガイドで「人々の暮らしをより豊かにする政策の企画・立案」と紹介されています。政策を実現するための調整や、政策の実行・フォローアップにも関わります。
政策の企画・立案と調整
中心になるのは、社会の課題を調べ、法律や予算、制度の案をつくる仕事です。案をまとめる過程では、関係する府省や団体との調整も欠かせません。
あらやん先生府省ごとの仕事の例
担当する政策の分野は、府省によって大きく違います。人事院の試験ガイドでは、各府省の役割が次のように紹介されています。
- 財務省本省:予算・税制などの財政政策や、経済外交・関税交渉などの国際関連政策の企画・立案
- 金融庁:金融制度の企画立案、金融事業者のモニタリング、金融外交
- 消防庁:平時は消防の制度の企画・立案、大規模な災害のときは緊急消防援助隊の派遣などのオペレーション
※ 人事院「国家公務員試験ガイド2026 総合職」の「各府省の役割」(6〜7ページ)の紹介を要約しています。
研修と多様な勤務経験
人事院は、採用時から幹部級まで、役職の段階ごとに研修を実施しています。
- 合同初任研修:採用直後に受ける研修
- 初任行政研修:採用後1か月程度を経た職員が対象・地方自治体などでの現場体験を含む研修
- 課長補佐級研修・課長級研修など:役職が上がる段階ごとの研修
研修のほか、海外留学や、他府省・地方公共団体・国際機関・民間企業での勤務を経験する機会もあります。役職の段階は、係員・係長・課長補佐・室長・課長・幹部職員に分かれています。
※ 研修と勤務経験の例は、人事院「国家公務員試験ガイド2026 総合職」に基づきます。
国家総合職の試験の種類
| 試験 | 主な対象 | 区分の数 |
|---|---|---|
| 院卒者試験 | 大学院の修士課程などを修了した人・修了見込みの人 | 9区分 |
| 大卒程度試験 | 大学卒業程度の知識がある人(教養区分を含む) | 12区分 |
※ 2026年度の受験案内に基づきます。院卒者試験の法務区分は2025年に廃止され、2026年度は実施されていません。
国家総合職の試験は、院卒者試験と大卒程度試験の2つです。どちらも、区分(専攻の分野)を選んで受験します。
大卒程度試験は「大学卒業程度」の問題が出る試験です。大学を卒業していることが必ずしも条件ではありません(受験資格は後の章で解説します)。
教養区分
大卒程度試験には、法律や経済などの専門試験がない教養区分があります。2026年度からは、春と秋の年2回実施されています。
教養区分の受験資格や倍率は、国家総合職の教養区分は社会人・既卒も受けられる?で詳しく解説しています。
あらやん先生試験の区分
大卒程度試験には、政治・国際・人文、法律、経済などの文系の区分があります。デジタル、工学、化学・生物・薬学などの理系の区分もあります。院卒者試験は、行政・人間科学・デジタル・工学など9区分です。
国家総合職の試験から採用までの流れ

国家総合職は、試験に合格しただけでは採用されません。最終合格のあと、官庁訪問で府省の内々定を得て採用されます。
第1次試験と第2次試験の内容
第1次試験は筆記試験、第2次試験は記述式の筆記試験と人物試験などです(教養区分を除く2026年度の内容)。
- 第1次試験:基礎能力試験(文章理解・判断推理・数的推理・時事などの多肢選択式)と専門試験(多肢選択式)
- 第2次試験:専門試験(記述式)、政策論文試験(院卒者試験は政策課題討議試験)、人物試験
- 英語試験:TOEFL・TOEIC・IELTS・英検などのスコアに応じて、総得点に15点または25点を加算
最終合格と採用候補者名簿
最終合格者は、区分ごとの採用候補者名簿に得点順に記載されます。名簿の有効期間は、院卒者試験と大卒程度試験(教養区分を除く)が5年間、教養区分が7年間です。
各府省は、この名簿に記載された人の中から、面接などを行って採用する人を決めます。
官庁訪問と採用
採用されるためには、名簿の有効期間中に志望する府省を訪問(官庁訪問)し、内々定を得る必要があります。2026年度の官庁訪問は、2026年6月10日から始まりました。
あらやん先生2027年の日程
| 日程 | 2027年(春) | 2026年(春) |
|---|---|---|
| 申込受付期間 | 2027年1月下旬〜2027年2月上旬 | 2026年2月2日〜2026年2月24日 |
| 第1次試験日 | 2027年2月28日 | 2026年3月15日 |
| 第2次試験日(筆記) | 2027年3月21日 | 2026年4月12日 |
| 最終合格者発表日 | 2027年5月下旬 | 2026年5月29日 |
※ 総合職試験(春)の日程です(人事院の2026年3月5日の発表)。第2次試験日(筆記)は教養区分を除く日程です。2027年の申込期間と第1次試験合格者発表日以降の確定日程は、2026年11月中旬に公表される予定です。2027年の教養区分(秋)の日程は、2026年12月下旬に公表される予定です。
2027年は、総合職(春)の第1次試験が2027年2月28日に行われます。2026年の3月15日より早まり、最終合格者の発表は2027年5月下旬です。
国家総合職の受験資格と年齢
| 試験 | 2026年度の受験資格 |
|---|---|
| 大卒程度(教養区分以外) | 1996年4月2日〜2005年4月1日生まれは学歴を問わない。2005年4月2日以降生まれは大学卒業(見込みを含む)などが必要 |
| 大卒程度(教養区分・春) | 1996年4月2日〜2007年4月1日生まれは学歴を問わない。2007年4月2日以降生まれは大学卒業(見込みを含む)などが必要 |
| 院卒者試験 | 1996年4月2日以降生まれで、大学院の修士課程などを修了した人・2027年3月までに修了する見込みの人 |
※ 2026年度の受験案内に基づきます。「見込み」は2027年3月までに卒業・修了する見込みの方です。このほか、日本の国籍を有しない方なども受験できません。
国家総合職の受験資格は、生年月日で決まります。2026年度の試験は、1996年4月2日以降に生まれた方が対象です。
大卒程度試験は、生年月日が範囲内なら、大学を卒業していなくても受験できます。
「30歳未満」の数え方
人事院の試験ガイドでは、総合職試験の対象を「30歳未満」と説明しています。
この年齢は、試験の名前にある年度の4月1日(2026年度なら2026年4月1日)の時点で数えます。
あらやん先生例えば、1996年4月2日生まれの方は2026年度の試験を受験できます。1996年4月1日生まれの方は受験できません。
30歳前後で受けられる試験は、30歳から公務員試験は間に合う?でまとめています。
在職中の受験
在職中でも受験できます。受験案内の「受験できない者」に、会社員や地方公務員として働いていることは挙げられていません。
国家総合職の倍率
| 2026年度(春) | 第1次試験 | 第2次試験 | 実質倍率 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 受験者 | 合格者 | 受験者 | 最終合格者 | ||
| 大卒程度試験 | 8,945名 | 2,496名 | 2,019名 | 1,371名 | 5.28倍 |
※ 実質倍率=1次倍率(受験者÷1次合格)×2次倍率(2次受験者÷最終合格)。人事院の発表資料の倍率(第1次試験の受験者数÷最終合格者数=6.5倍)とは計算方法が違います。
※ 大卒程度試験の全区分の合計で、教養区分(春)を含み、教養区分(秋)は含みません。申込者は11,211名です。区分によって倍率は大きく違います。
2026年度(春)の大卒程度試験の実質倍率は、5.28倍です。
第1次試験の倍率が3.58、第2次試験の倍率が1.47で、最初の筆記試験で特に多くの人が絞られています。
あらやん先生社会人から政策の仕事を目指すルート

社会人から国の政策づくりの仕事を目指すルートは、年齢によって入口が変わります。
生年月日が受験資格の範囲内なら総合職試験、範囲を過ぎていれば総合職試験とは別の経験者採用試験が入口の一つです。
年齢要件の範囲内での総合職試験
生年月日が受験資格の範囲内なら、社会人も学生と同じ総合職試験を受けられます。専門試験の勉強時間を確保しにくい方は、教養区分も含めて受けられる区分と回を比べてみましょう。
受験資格の範囲を過ぎた場合の経験者採用試験
総合職試験の年齢の範囲を過ぎた方は、総合職試験を受けられません。その場合の入口の一つが、経験者採用試験(係長級(事務))です。
あらやん先生このうち府省合同A区分は、政策の企画・立案や調査・研究を職務とする係長級の職員を採用する区分です。民間企業などでの経験を生かせる人が対象です。
受験資格は大学などを卒業してから2年以上で、年齢の上限の定めはありません。
※ 2026年度の経験者採用試験(係長級(事務))の受験資格です(2026年4月1日時点で、大学などを卒業した日から2年を経過した方)。2026年度の申込は8月17日に締め切られています。
受験先の選び方や、働きながらの学習計画は、公務員のライトの無料受講相談で個別にお答えしています。

国家総合職に関するよくある質問
文系・理系どちらでも受けられますか
受けられます。大卒程度試験には法律・経済などの文系の区分と、工学・デジタルなどの理系の区分があり、専門試験のない教養区分もあります。
在職中でも受験できますか
受験できます。受験案内では、会社員や公務員として働いていることは受験できない理由に挙げられていません。第2次試験や官庁訪問の日程は平日も含むため、休暇の計画を立てておくと安心です。
合格すれば必ず採用されますか
最終合格は採用ではありません。採用候補者名簿に記載されたあと、官庁訪問で府省の面接などを受けて内々定を得る必要があります。
30歳を過ぎたら国家総合職にはなれませんか
総合職試験は、2026年度は1996年4月2日以降に生まれた方が対象です。範囲を過ぎた方は受けられません。
国の政策づくりに関わる道として、総合職試験とは別の経験者採用試験(府省合同A区分・係長級で採用)があります。
英語の資格は必要ですか
受験資格に英語の資格は含まれていません。TOEFL・TOEIC・IELTS・英検などのスコアがあれば、英語試験として総得点に15点または25点が加算されます。
※ 例えばTOEIC(Listening & Reading)は、600点以上で15点、730点以上で25点です(公開テストのスコアが対象)。
国家総合職の給料はどのくらいですか
受験案内の例では、東京都特別区に勤務する場合の2026年4月1日の給与が示されています。大卒程度試験の行政職員は290,400円、院卒者試験の行政職員は306,720円です。
※ 人事院「2026年度国家公務員採用総合職試験受験案内」の給与の例です。地域手当が支給されない地域では、大卒程度試験242,000円、院卒者試験255,600円です。2026年の人事院勧告による改定前の額です。
まとめ|国家総合職とは
- 国家総合職は、総合職試験で採用され、国の政策の企画・立案や調査・研究を担う職員
- 一般職は政策の実行、専門職は特定分野の専門的な事務が中心
- 試験は院卒者試験と大卒程度試験の2つ(大卒程度試験に教養区分あり)
- 最終合格のあと、官庁訪問で府省の内々定を得て採用
- 2026年度の受験資格は1996年4月2日以降生まれ(大卒程度試験の実質倍率は5.28倍)
- 年齢の範囲を過ぎた方の入口の一つは、総合職試験とは別の経験者採用試験(府省合同A区分・係長級で採用)
国家総合職を目指すなら、まずはご自身の生年月日で受けられる試験と回を確かめることが第一歩です。
あらやん先生働きながらの合格を、講師がマンツーマンで支えます
受験先選びから筆記・論文・面接まで、あなた専用のスケジュールで進める個別指導コースです。
公務員のライトの転職サポート
公務員のライトでは、社会人・既卒の方向けに、受験先選びから筆記・論文・面接対策までをLINEで個別にサポートしています。
「自分はどの試験を受けられるのか」「働きながら間に合うのか」など、個別の状況に合わせたご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※ 出典:国家公務員法/採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する政令/人事院「2026年度 国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)受験案内」/人事院「国家公務員試験ガイド2026 総合職」/人事院「国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)実施状況 2026年度」(2026年9月18日更新)/人事院「2026年度国家公務員採用総合職試験(春)の合格者発表」(2026年5月29日)/人事院「2027年の国家公務員採用試験(春)の日程について」(2026年3月5日)/人事院「国家公務員試験採用情報NAVI」(国家公務員の紹介・総合職試験・経験者採用試験(係長級(事務))) ※ いずれも2026年10月1日時点





