公務員に転職したら年収は上がる!? 前職の経験が給料に上乗せされる「職歴加算」を解説
こんにちは。公務員のライト専任講師の横溝です。
社会人の方から「公務員に転職すると、年収は下がってしまうのか」というご相談が多くあります。
そこでこの記事では、前職の経験が初任給に反映される職歴加算の仕組みから具体的な年収の試算まで、データに基づいて徹底解説していきます。
この記事を書いた人
公務員のライト専任講師
よこみぞ先生(横溝涼)
- 公務員のライト「社会人コース」専任講師。元高校、元大原学園公務員専門学校の教職員。現在は公務員のライト専任講師として、既卒者や社会人経験者など「社会人受験」の指導が専門。わずか4年間で300名を超える「公務員転職者」を輩出。
- 「論文・作文本」など3冊の執筆に携わり、Amazonベストセラー1位を獲得。
公務員に転職した後の年収

結論から言うと、公務員に転職しても年収が下がるとは限りません。前職での経験年数を初任給に加算する仕組みがあるためです。
上がるか下がるかは、今の年収と採用時の年収の目安を比べると分かります。目安は、経験年数・勤務地・採用ルートで変わります。
下がる人・変わらない人・上がる人のパターン
| 今の年収と目安の関係 | 転職後の年収 | 確かめるポイント |
|---|---|---|
| 今の年収が目安より高い | 下がる | 残業代を除いた年収でも高いか |
| 今の年収が目安と同じくらい | 変わらない | 採用1年目のボーナスが少ない点 |
| 今の年収が目安より低い | 上がる | 勤務地(地域手当)の違い |
※ 目安は国家公務員(行政職俸給表(一))の場合です。公務員の年収の目安には残業代(超過勤務手当)や扶養手当・住居手当を含めていないため、比べるときは今の年収からも、残業代と家族手当・住宅手当などを除いてそろえます。
例えば、27歳・民間経験5年の方が一般職(大卒程度)で採用された場合を試算しました。東京23区勤務なら、年収の目安は満年度で約500.7万円です。
ただし、採用1年目は6月のボーナスが少なくなるため、年収は一時的に下がりやすくなります。
年齢別のモデル年収と比較の考え方
| 勤務先・役職 | 年齢 | 月額 | 年間給与 |
|---|---|---|---|
| 地方機関・係員 | 22歳 | 232,000円 | 3,844,000円 |
| 地方機関・係長 | 35歳 | 301,600円 | 5,066,000円 |
| 地方機関・係長 | 40歳 | 320,600円 | 5,386,000円 |
| 本府省・係長 | 28歳 | 355,860円 | 5,884,000円 |
| 本府省・課長補佐 | 35歳 | 497,160円 | 8,320,000円 |
※ 地方機関は各府省の地方の出先機関、本府省は中央省庁の本省です。人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(2026年8月)の国家公務員モデル給与例のうち、2026年9月時点で施行されている給与法の水準(勧告前)の数値です。地域手当は地方機関なし・本府省20%で計算され、本府省の数値には本府省業務調整手当も含まれています。扶養手当・住居手当・通勤手当・残業代は含みません。
公務員の年収は、年齢だけでなく役職(級)と勤務先でも大きく変わります。同じ35歳でも、地方機関の係長と本府省の課長補佐では年間給与に300万円以上の差があります。
横溝先生国税庁の民間給与実態統計調査(2024年分)によると、民間の平均給与は25〜29歳が407万円です。30〜34歳は449万円、35〜39歳は482万円です。
ただし、この平均は正社員以外や役員を含み、残業代も入った数字です。上のモデルとは単純には比べられません。
前職の経験の初任給への反映(職歴加算)

民間企業で働いた期間は、給与を決めるときの「経験年数」として数えられ、採用時の号俸(給料の段階)が上がります。この記事では、これを職歴加算と呼びます。
職歴加算の仕組み(号俸の決まり方)
- 一般職(大卒程度)で採用された場合の基準は1級25号俸(基本給にあたる俸給月額は232,000円)
- 民間での経験年数12か月ごとに4号俸を加算(1年未満の端数は切り捨て)
- 会社員として常勤で働いた期間は、職務に直接役立つと認められれば100%で換算
- 経験者採用試験で採用された場合は、同程度の経験年数の職員の号俸を踏まえて個別に決定
一般職(大卒程度)などの採用試験で入る場合、号俸は計算で決まります。民間での経験が5年あれば、5年×4号俸=20号俸が上乗せされる計算です。
ただし、この加算は、人事院規則で府省が行うことができると定められたものです。どの期間を経験として認めるかは、採用する府省が決めます。
2025年・2026年の見直し
- 2025年4月から、民間企業での経験を公務での経験と同じく100%で換算するのが基本
- 2026年4月から、5年を超える経験を割り引いて数えるルールを廃止
人事院は2025年2月の通知で、説明・調整・企画などの汎用的な能力を使う仕事も、職務に直接役立つ経験に含むとしました。2026年4月の新しい通知にも引き継がれ、前職と職種が違っても100%で換算できることが明確になっています。
経験年数別の加算イメージ(試算表)
| 民間での経験 | 採用時の号俸 | 俸給月額 | 年収の目安(満年度) | 経験なしとの差 |
|---|---|---|---|---|
| なし | 1級25号俸 | 232,000円 | 4,613,088円 | — |
| 1年 | 1級29号俸 | 237,600円 | 4,724,438円 | +111,350円 |
| 2年 | 1級33号俸 | 242,000円 | 4,811,928円 | +198,840円 |
| 3年 | 1級37号俸 | 245,800円 | 4,887,486円 | +274,398円 |
| 4年 | 1級41号俸 | 249,200円 | 4,955,092円 | +342,004円 |
| 5年 | 1級45号俸 | 251,800円 | 5,006,790円 | +393,702円 |
| 6年 | 1級49号俸 | 254,100円 | 5,052,522円 | +439,434円 |
| 7年 | 1級53号俸 | 256,200円 | 5,094,280円 | +481,192円 |
| 8年 | 1級57号俸 | 257,500円 | 5,120,128円 | +507,040円 |
※ 当サイトの試算です。一般職(大卒程度)で採用、大学卒業後すぐ民間企業に常勤で就職し、その期間をすべて100%で換算した場合としています。東京23区勤務(地域手当20%)、ボーナスは標準的な評価の年4.57月、扶養手当・住居手当・通勤手当・本府省業務調整手当・残業代は含みません。昇給は入れていません。俸給月額は2026年9月時点で施行されている給与法(行政職俸給表(一))によります。表の「—」は、比べる基準の行であることを示します。
民間での経験が5年あれば、経験なしで採用された場合より年収の目安は約39.4万円高くなります。
ただし1級の中では、号俸が上がるほど1号俸あたりの増え方が小さくなります。年収を大きく変えるのは、係長などの上の級への昇格です。
横溝先生年収シミュレーション例
20代後半・民間5年目のケース
| 条件 | 月額 | 年収(満年度) | 年収(採用1年目) |
|---|---|---|---|
| 東京23区勤務 | 302,160円 | 5,006,790円 | 4,529,965円 |
| 地域手当のない地域 | 251,800円 | 4,172,324円 | 3,774,970円 |
| (参考)民間経験なし・東京23区 | 278,400円 | 4,613,088円 | 4,183,267円 |
※ 当サイトの試算です。27歳(大学卒業後、民間企業で常勤5年)で一般職(大卒程度)に採用され、経験年数を100%で換算された場合です。4月1日採用、ボーナスは標準的な評価の年4.57月、扶養手当・住居手当・通勤手当・本府省業務調整手当・残業代は含まず、俸給月額は2026年9月時点で施行されている給与法によります。満年度は、ボーナスを年間満額で受け取る年の額(昇給なし)です。採用1年目(4月〜翌年3月)は、6月のボーナスが在職期間2か月のため満額の30%になり、翌年1月に3号俸昇給するとして計算しています。
27歳・民間経験5年の方が一般職(大卒程度)で採用されると、号俸は1級45号俸になります。東京23区勤務なら、年収の目安は満年度で約500.7万円です。
採用1年目はボーナスが少ないため約453.0万円で、2年目に約505.1万円(昇格なしの場合)と満年度の水準になります。
30代半ば・民間10年目のケース
| 経験者採用の区分 | 俸給月額(例) | 月額(東京23区) | 年収(満年度) |
|---|---|---|---|
| 府省合同A(政策の企画等) | 320,000円 | 384,000円 | 6,538,368円 |
| 府省合同B(事務の実施等) | 287,200円 | 344,640円 | 5,789,434円 |
※ 当サイトの試算です。35歳・民間経験10年程度の方を想定し、俸給月額は2026年度 経験者採用試験(係長級(事務))受験案内に載っている「経験年数10年程度」の例(2026年4月1日現在)を使っています。4月1日採用・東京23区勤務(地域手当20%)、ボーナスは標準的な評価の年4.57月、扶養手当・住居手当・通勤手当・本府省業務調整手当・残業代は含みません。実際の号俸は採用する府省が個別に決めます。ボーナスの計算に使う加算の割合は、例の金額が俸給表で一致する級(Aは4級・Bは3級)で計算しています。
35歳では一般職(大卒程度)の年齢要件を超えるため、受験資格に年齢の上限がない経験者採用試験が主な選択肢になります。受験案内の例を当てはめると、年収の目安は満年度で約578.9万〜653.8万円です。
経験者採用では、前職の給与も考慮して号俸を決めることができます。人事院は、採用時の級の最高号俸にすることも可能で、本省の係長級なら年収840万円程度になると示しています。
横溝先生個別の状況に合わせたアドバイスは、LINEの無料相談で受け付けています。
年収以外で見るべき待遇

転職を判断するときは、1年目の年収だけでなく、昇給・ボーナス・退職金・手当まで含めて考えることが大切です。
昇給カーブ・ボーナス・退職金
昇給は毎年1月1日で、標準的な評価なら4号俸です(4月採用の人の最初の昇給は3号俸)。
ボーナス(期末・勤勉手当)は公務全体の平均で年4.65月分です。勤勉手当は人事評価で変わり、この記事の試算は標準的な評価の年4.57月で計算しています。
退職金の勤続期間と支給率
| 採用時の年齢 | 65歳までの勤続年数 | 定年退職の支給率 |
|---|---|---|
| 22歳 | 43年 | 47.709か月分 |
| 27歳 | 38年 | 47.709か月分 |
| 35歳 | 30年 | 40.80375か月分 |
※ 内閣官房内閣人事局「国家公務員退職手当支給率早見表」の定年退職等の支給率(退職時の俸給月額に掛ける月数)です。65歳の定年まで勤めた場合としています。実際の退職手当は、退職時の俸給月額と調整額で決まります。61歳になる年度から俸給月額が7割になるため、減額前の俸給月額も考慮して計算する特例(ピーク時特例)があります。
退職金(退職手当)の勤続期間は、国家公務員として引き続き在職した期間で数えます。民間企業で働いた期間は通算されません。
支給率は勤続35年で頭打ちになるため、27歳で採用されて65歳まで勤めれば、新卒で採用された人と同じ支給率に届きます。
手当・福利厚生(住居・扶養など)
| 手当 | 内容(2026年9月時点) |
|---|---|
| 地域手当 | 東京23区は俸給などの20%(地域により0〜20%) |
| 扶養手当 | 子1人につき月13,000円など |
| 住居手当 | 借家の場合、月最高28,000円 |
| 通勤手当 | 定期券相当額(月最高150,000円)など |
| 本府省業務調整手当 | 本府省勤務の場合、1級は月9,200円 |
| 単身赴任手当 | 配偶者と別居した場合など、月最高100,000円 |
※ 2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内と給与法・人事院規則に基づきます。支給には条件があります。
シミュレーションに含めていない手当も、条件に当てはまれば支給されます。例えば、子どもが1人いる場合は、年収の目安が満年度で約22.7万円増えます(ケース1)。扶養手当と、それに連動する地域手当・期末手当の分です。単身赴任手当の見直しについては、国家公務員の新しい「転居に関する手当」の記事で解説しています。
横溝先生休暇は、年次休暇が年20日(4月採用の年は15日)で、病気休暇や夏季・結婚・出産などの特別休暇、育児休業制度もあります。
受験先の選び方や、働きながらの学習計画は、公務員のライトの無料受講相談で個別にお答えしています。

転職後の年収に関するよくある質問
前職の年収はそのまま引き継がれますか
一般職(大卒程度)などの採用試験で入る場合、引き継がれるのは前職の年収ではなく経験年数です。経験年数に応じて号俸が決まります。
経験者採用試験で入る場合は、採用する府省が前職の給与も考慮して、個別に号俸を決めることができます。
職歴はどうやって証明しますか
在職証明書のほか、源泉徴収票・厚生年金の加入記録・給与明細・雇用契約書などでも確認できるとされています。採用される府省の案内に従って準備しましょう。
転職1年目のボーナスは少なくなりますか
4月に採用された場合、6月のボーナスは在職期間が2か月のため、満額の30%になります。12月のボーナスは満額が支給されます。
2026年の人事院勧告で給料は上がりますか
人事院は2026年8月7日に、俸給表とボーナス(年4.70月へ)の引き上げを勧告しました。2026年9月時点では法律になっていないため、試算は改定前の額です。勧告どおりに法改正されれば、俸給は2026年4月にさかのぼって上がります。
地方公務員でも職歴加算はありますか
地方公務員の給与は、自治体ごとに条例で決まります。例えば特別区(東京23区)は、職務経験等がある人は初任給に一定の加算がされる場合があると案内しています。詳しくは、採用を希望する区などの人事担当課に確認してください。
横溝先生まとめ|公務員に転職したときの年収
- 公務員に転職しても年収が下がるとは限らない(今の年収と採用時の目安の比較で判断)
- 一般職(大卒程度)などの採用試験なら、民間での経験年数12か月ごとに4号俸を加算(認定は採用する府省)
- 27歳・民間経験5年で一般職(大卒程度)に採用なら、東京23区勤務で満年度 約500.7万円(採用1年目は約453.0万円)
- 35歳・民間経験10年なら経験者採用が主な選択肢(前職の給与も考慮できる個別決定)
- 退職金の勤続期間に民間の期間は通算なし
公務員への転職で年収がどう変わるかは、経験年数・勤務地・採用ルートを当てはめれば、事前にかなり具体的に見通せます。
横溝先生働きながらの合格を、講師がマンツーマンで支えます
受験先選びから筆記・論文・面接まで、あなた専用のスケジュールで進める個別指導コースです。
公務員のライトの転職サポート
公務員のライトでは、社会人・既卒の方向けに、受験先選びから筆記・論文・面接対策までをLINEで個別にサポートしています。
「自分はどの試験を受けられるのか」「働きながら間に合うのか」など、個別の状況に合わせたご相談は無料です。お気軽にご相談ください。
※ 出典:一般職の職員の給与に関する法律(行政職俸給表(一))/人事院規則9-8(初任給、昇格、昇給等の基準)/人事院規則9-40(期末手当及び勤勉手当)/人事院規則9-49(地域手当)/国家公務員退職手当法/人事院「民間企業等からの採用時の給与決定について」(2026年4月1日、最終改正2026年7月30日)・参考資料/人事院「民間企業等からの採用時の給与決定及び職員の昇格の柔軟な運用について」(2025年2月12日)/人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(2026年8月)/人事院「2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」「2026年度 経験者採用試験(係長級(事務))受験案内」/内閣官房内閣人事局「国家公務員退職手当支給率早見表」/人事院・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」(2026年4月)/国税庁「民間給与実態統計調査」(2024年分)/特別区人事委員会「各採用試験共通Q&A」/公務員のライト調べ(試算) ※ いずれも2026年9月27日時点





