公務員試験の区分の違いは?大卒程度と社会人経験者、社会人はどちらで受けるべきか
こんにちは。公務員のライト専任講師の横溝です。
社会人の方から「募集要項にある『大卒程度』と『社会人経験者』のどちらで申し込めばいいのか」というご相談が多くあります。
そこでこの記事では、2つの区分の違いから、どちらで受けるかの判断基準、併願の注意点まで、公式の受験案内に基づいて徹底解説していきます。
この記事を書いた人
公務員のライト専任講師
よこみぞ先生(横溝涼)
- 公務員のライト「社会人コース」専任講師。元高校、元大原学園公務員専門学校の教職員。現在は公務員のライト専任講師として、既卒者や社会人経験者など「社会人受験」の指導が専門。わずか4年間で300名を超える「公務員転職者」を輩出。
- 「論文・作文本」など3冊の執筆に携わり、Amazonベストセラー1位を獲得。
「大卒程度」と「社会人経験者」区分の違い【早見表】

2つの区分は、受験資格の決まり方が大きく違います。大卒程度は年齢の範囲で、社会人経験者は卒業後の年数や職務経験の年数で受けられるかが決まります。
横溝先生受験資格・試験内容を比較
| 国・特別区の例 | 大卒程度 (行政・事務の例) | 社会人経験者 (事務の例) |
|---|---|---|
| 受験資格 | 生年月日(年齢)の範囲 | 卒業後の年数や 職務経験の年数 |
| 筆記試験 | 教養試験+専門試験 | 教養試験 (専門試験なし) |
| 論文 | 一般的な課題の論文 | 職務経験の論文など |
| 面接 | 個別面接 | 職務経験も問う個別面接 |
国家公務員と特別区(東京23区)の事務の区分で比べると、上の表のとおりです。大卒程度でも、国家公務員の一般職の「教養」区分のように、専門試験のない区分もあります。
社会人経験者の区分には専門試験がなく、職務経験についての論文があります。特別区の経験者採用では、職務経験論文と課題式論文の成績で第1次試験の合格が決まります。
試験の時期も違います。2026年度は、国家公務員の一般職(大卒程度)の第1次試験が5月31日、経験者採用試験が10月4日でした。特別区はⅠ類(春試験)が4月19日、経験者採用(秋試験)が9月6日です。
採用の時期は、国家公務員の経験者採用試験がおおむね2027年4月、特別区の経験者採用(秋試験)が原則として2027年4月1日以降です。働きながら受ける場合は、申込みの時期も含めて年間の予定を立てておきましょう。
「大卒程度」と学歴要件
「大卒程度」は、試験問題の難しさの程度を表す言葉です。決められた年齢の範囲内であれば、大学を卒業していることは条件ではありません。
国家公務員の一般職(大卒程度)「行政」区分は、1996年4月2日から2005年4月1日までに生まれた人なら、学歴を問わず受けられます。特別区のⅠ類も、受験案内に「出題の程度は、大学卒業程度のもの」と書かれています。
横溝先生国家公務員と地方公務員の区分の例
国家公務員の一般職と経験者採用試験
| 項目 | 一般職 (大卒程度・行政) | 経験者採用試験 |
|---|---|---|
| 受験資格 | 1996年4月2日〜2005年4月1日生まれ (学歴で受ける方法もあり) | 大学などの卒業から 2年(A)・7年(B) |
| 第1次試験 | 基礎能力・専門・ 一般論文 | 基礎能力・ 経験論文 |
| 第2次試験 | 個別面接 | 個別面接 (Aは政策課題討議も) |
| 採用後 | 係員 | 係長級 |
同じ「大卒程度」「社会人経験者」でも、受験資格の中身は受験先によって違います。国家公務員の場合は、上の表のとおりです。
国家公務員の経験者採用試験は、受験資格が卒業してからの年数で決まります。受験案内の受験資格には、年齢の上限は書かれていません。
職務経験の中身は、経験論文試験と面接で問われます。経験論文試験では、これまでで最も困難だった業務や、志望する府省への志望動機などが問われます。
特別区のⅠ類と経験者採用
| 項目 | Ⅰ類(事務) | 経験者採用(1級職) |
|---|---|---|
| 受験資格 | 22歳以上32歳未満 (学歴で受ける方法もあり) | 62歳未満・直近10年中4年以上 (週20時間以上などの条件あり) |
| 第1次試験 | 教養・専門・論文 | 教養・職務経験論文・ 課題式論文 |
| 第2次試験 | 個別面接 | 個別面接 |
| 初任給 | 約278,400円 | 約296,500円 |
特別区の経験者採用(1級職・事務〔一般事務〕)の論文は、職務経験論文と課題式論文の2つで、どちらも1,200字以上1,500字程度です。第1次試験の合格は論文の成績で決まり、教養試験は一定の点に達しているかを見られます。
1級職の「直近10年中4年以上」は、2026年度の秋試験では、2017年4月1日から2027年3月31日までの間に4年以上という意味です。数えられるのは、満22歳になった年度の翌年度の4月1日以降の期間です。1つの勤め先で週20時間以上働いた期間が対象で、派遣社員や契約社員の期間も含まれます。
業務従事歴がより長い人向けに、2級職(主任)などの採用区分もあります。2026年度の事務(一般事務)の募集は、1級職と2級職でした。
横溝先生どちらで受けるべきかの判断基準

どちらで受けるかは、まず受験先ごとに、両方の区分の受験資格を確かめてから考えます。
年齢・職務経験年数・筆記への自信による判断
大卒程度の年齢の範囲を超えている場合は、社会人経験者の区分が中心になります。例えば2026年度の特別区のⅠ類(事務)は、1995年4月1日以前に生まれた人は受けられません。
反対に、卒業後の年数や職務経験の年数が受験先の条件に届かない場合は、社会人経験者の区分では受けられません。その場合は、大卒程度の年齢の範囲に入っているかを確かめます。
両方の条件を満たす場合は、試験の内容で選びます。今回比べた行政・事務の大卒程度には専門試験があり、社会人経験者には職務経験についての論文があります。
採用時の給与は、どちらの区分でも職務経験などにより加算される場合があります。受験案内に載っている初任給の額だけで、区分の有利・不利は判断できません。
判断フローチャート
迷ったときは、上の図のように2つの受験資格を確かめましょう。大卒程度は年齢の範囲など、社会人経験者は卒業後の年数や職務経験の年数を、受験案内で見ます。
一方だけ満たす場合はその区分で受け、両方満たす場合は試験の内容で選びます。どちらも満たさない場合は、ほかの受験先の条件を探しましょう。
横溝先生両区分の併願の可否

特別区では、同じ年度にⅠ類と経験者採用を併願することはできません。
特別区の併願パターンと注意点
特別区の経験者採用には春試験と秋試験があり、春試験に申し込んだ人も秋試験に申し込めます。ただし、春試験で最終合格した場合は、秋試験を受けられません。2026年度の春試験の募集は、福祉の職種でした。
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区分選びに関するよくある質問
大学を出ていなくても「大卒程度」を受けられますか
年齢の範囲内であれば受けられます。国家公務員の一般職(大卒程度)「行政」区分は、1996年4月2日から2005年4月1日までに生まれた人なら学歴を問いません。
職務経験は正社員でなくても数えられますか
特別区の経験者採用では、派遣社員や契約社員の期間も業務従事歴に含まれます。数えられるのは、満22歳になった年度の翌年度の4月1日以降に、週20時間以上働いた期間です。1つの勤め先で1年以上働いた期間なら、複数の会社の経験を通算できます。大学院に在籍していた期間は含まれません。
経験者採用は筆記試験がないのですか
筆記試験はあります。国家公務員の経験者採用試験は基礎能力試験、特別区の経験者採用は教養試験があり、どちらも論文試験もあります。専門試験はありません。特別区の1級職(事務〔一般事務〕)の教養試験は、45題のうち35題を解答する五肢択一式です。
横溝先生まとめ|「大卒程度」と「社会人経験者」区分の違い
- 「大卒程度」は学歴の条件ではなく、試験の難しさの程度
- 受験資格は、大卒程度が年齢の範囲、社会人経験者が卒業後や職務経験の年数
- 社会人経験者の区分は専門試験がなく、職務経験についての論文あり
- 国の経験者採用は卒業からの年数、特別区は業務従事歴の年数が条件
- 特別区は、同じ年度のⅠ類と経験者採用の併願が不可
どちらの区分で受けるかは、両方の区分の受験資格を確かめてから、試験の内容で選びましょう。受験資格の数え方は受験先によって違うので、必ず受験案内で確かめることが大切です。
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出典:人事院「2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」/人事院「2026年度 国家公務員経験者採用試験(係長級(事務))受験案内」/特別区人事委員会「2026(令和8)年度 Ⅰ類採用試験【春試験】案内」/特別区人事委員会「2026(令和8)年度 経験者採用試験・選考【秋試験】案内」/特別区人事委員会「2026(令和8)年度 特別区職員採用試験・選考 実施日程」/特別区人事委員会「経験者採用試験・選考Q&A」(いずれも2026年10月13日時点)
画像『大卒程度と社会人経験者の違い』『どちらの区分で受ける?』:人事院・特別区人事委員会の各受験案内(2026年度)/画像『両方の区分を受けられる?』:特別区人事委員会「2026(令和8)年度 特別区職員採用試験・選考 実施日程」
※ 表『受験資格・試験内容を比較』は、国家公務員の一般職(大卒程度)「行政」区分と経験者採用試験(係長級(事務))、特別区のⅠ類と経験者採用(1級職)の「事務(一般事務)」の例です。試験の内容は、受験先や区分によって違います。
※ 2005年4月2日以降に生まれた人は、国家公務員の一般職(行政)は大学・短期大学・高等専門学校を、特別区のⅠ類は大学(短期大学を除く)を卒業した人と2027年3月までに卒業する見込みの人などが受けられます。
※ 表『国家公務員の一般職と経験者採用試験』のAは府省合同A区分、Bは府省合同B区分です。B区分は高校卒業から11年などの条件もあります。年数は2026年4月1日時点で数えます。
※ 表『特別区のⅠ類と経験者採用』の年齢は、試験の翌年の4月1日が基準です。初任給は2026年4月1日現在の給料月額に地域手当を加えた額で、どちらも職務経験などにより加算される場合があります。
※ 特別区の2級職(主任)は、直近14年中8年以上の業務従事歴が必要です。3級職(係長級)も制度上ありますが、募集する職種は限られています。
※ 特別区では、その年度のⅠ類採用試験に申し込んだ人は、受験したかどうかにかかわらず、経験者採用試験・選考に申し込めません。





